~ミトコンドリアと脳のための栄養戦略~
1:脳は“栄養に敏感な臓器”
・脳は体重の2%しかないのに、全エネルギーの約25%を消費。
・ミトコンドリアに依存しており、代謝状態が直接脳の働きに影響する。
・神経伝達物質(セロトニン・ドーパミン・アセチルコリン・GABAなど)の合成には、ビタミンB群、鉄、亜鉛、マグネシウム、アミノ酸などが必須。
2:脳を構成する“脂質”
・脳の約60%は脂質。柔軟な脂(DHAなど)が神経成長に不可欠。
・硬い脂質(オメガ6の過剰、トランス脂肪酸、飽和脂肪酸)は神経構造や機能に悪影響を及ぼす。
・脂質は酸化しやすく、抗酸化物質とのセットで守る必要がある。
3:脳の守護者「血液脳関門(BBB)」と栄養の通り道
・脳に栄養を届けるには、トランスポーターが必要(GLUT1、LAT1、Mfsd2aなど)。
・これらを構成するには、十分なアミノ酸・ビタミン・ミネラルが必要。
・BBBを構成する毛細血管内皮・基底膜・アストロサイト・ペリサイトも、栄養によって維持される。
4:栄養不足は認知症のリスクを高める
📌 論文紹介①
Concurrent nutrient deficiencies and dementia incidence(2024, Alzheimers Dement)
・ホモシステイン↑、ビタミンD↓、オメガ3脂肪酸↓の3つが揃うと、認知症リスクが4.6倍。
・喫煙(2倍)、糖尿病(2倍)、APOE ε4(3倍)よりも高リスク!
📌 論文紹介②
Omega-3 Status Enhances B Vitamin Effects on Cognition(2016, J Alzheimers Dis)
・MCI患者において、DHA・EPA濃度が高い人ほど、ビタミンB群の効果が顕著に。
・B群+オメガ3の併用で、認知症の進行率が59%→33%に減少。
🧬 ホモシステインの脳への悪影響
・神経毒性(NMDA受容体の過剰刺激)
・酸化ストレス増加、メチル化阻害 → 神経修復・伝達物質合成に悪影響
・血管障害(NO合成阻害)→ 脳虚血を起こす
・ビタミンB6・B12・葉酸で脳萎縮は1/9に!
5:世界から注目される「Food for the Brain」
・英国の非営利団体。認知症・うつ・ADHDなどを栄養と生活習慣で予防・改善することを目指す。
・参加者2000万人のデータを解析中。
🧩 推奨される「脳を守る生活習慣」
・血糖コントロール(低GI、精製糖制限)
・オメガ3摂取(EPA・DHA)
・ビタミンB群・D、マグネシウム、亜鉛の充足
・抗酸化食品(カロテノイド・ポリフェノール)
・腸内環境の改善
・睡眠・運動・ストレス管理
➡ これらを守れば、認知症の約80%が予防できるとも言われている!
6:認知症予防=“脳”と“ミトコンドリア”を守ること
認知症に限らず、全身の細胞・ミトコンドリアは、日々の栄養と生活習慣によって守られます。
健康でい続けるために、正しい知識を持ち、自分に合った栄養と習慣を選んでいきましょう!